超おひさしぶりに帰ってきた、お遊び検証シリーズです。
推進システムの性能をあらわすパラメータのひとつに、「推力重量比」というものがあります。
ものすごくざっくりいうと、「その機体が最大何G出せるか」を表す数字であり、さらにはそれが1を超えていれば「地球上で垂直離床可能」であることにもなります。もっとざっくり「その機体が地上に対してホバリングできるかどうか」(正確にはもっと条件が要りますが)と言ってもいいかもしれません。
この推力重量比を求める式は、以下の通りです。
推力重量比(T/W) = 推力(kN)/機体重量(kg)×重力加速度(m/s2)
なお、1kN = 1000kg・m/s2 とのこと。
重大な追記
推力にkgと書かれている場合、kg・m/s2の略ではなく、kgf(重量キログラム)の略であるようです。1kgf = 9.807Nだそうですので、数字がまるで変わってきます。以下、計算を過去のものと併記しますが、今回の方が正しいような気がします。2年半もすみません。
ところで、EW版に新規登場するMSは、重量と推力の数字が明らかにされているので、この推力重量比を求めることができます。
推力の単位がなんか微妙な上に、総推力なのか推進システム1個あたりの数字なのかいまいちよく分かりませんが、まあ目安にはなるだろうということで強引に計算します。
ウイングガンダムゼロ
とりあえず、こいつが垂直離床できないのはイメージに合わないので、真っ先に計算します。
T/W = 88.15kN / 8000kg × 9.807m/s2 = 88.15kN / 78456N = 1.124
何とかイメージどおりに飛べるようです。純粋な加速性能では現代の戦闘機にすら微妙に負けていますが、機体構造材やその他のスペックが化け物なんだから比較してはいけません。
88150kgf = 864487.05N
T/W = 864487.05N / 8000kg × 9.807m/s2 = 864487.05N / 78456N ≒ 11.011
11G出せるらしいです。以下だいたい似たような数値になりますがお付き合いください。
トールギスIII
翼で飛ぶのではなく、ブースターの力技でぶっ飛んで行きそうな代表格。
T/W = 87.003kN / 8200kg × 9.807m/s2 = 87.003kN / 80417.4N = 1.08
87003kgf = 853238.421N
T/W = 853238.421N / 8200kg × 9.807m/s2 = 853238.421N / 80417.4N ≒ 10.61
おおむねイメージどおりです。TV版では15G出るという設定をどこかで聞いた気がしますが、直線加速でかどうかは忘れました。調べてこよう……。
ガンダムデスサイズヘル
どうせ飛べないだろうとたかを括っていたら、思ってもみない結果が出たのでのけぞりました。
T/W = 75.38kN / 7400kg × 9.807m/s2 = 75.38kN / 72571.8N = 1.039
75380kgf = 739251.66N
T/W = 739251.66N / 7400kg × 9.807m/s2 = 739251.66N / 72571.8N ≒ 10.19
飛べるんだ……! あのアクティブクロークでは飛行自体は無理じゃないかと思いますが(それを言うならクロークの重量差分が200kgとかないわ)、ステルス格闘機が地上/宇宙を1G10G加速ですっ飛んでくるのは十分脅威だと思います。怖いです。
ガンダムヘビーアームズ改・ガンダムサンドロック改・サーペント
T/W = 73.75kN / 8200kg × 9.807m/s2 = 73.75kN / 80417.4N = 0.917
T/W = 72.03kN / 7900kg × 9.807m/s2 = 72.03kN / 77475.3N = 0.930
T/W = 72.03kN / 8100kg × 9.807m/s2 = 72.03kN / 79436.7N = 0.907
T/W = 723266.25N / 8200kg × 9.807m/s2 ≒ 9.00
T/W = 706398.21N / 7900kg × 9.807m/s2 ≒ 9.12
T/W = 706398.21N / 8100kg × 9.807m/s2 ≒ 8.89
この3機はまあ、妥当な数字だと思います。
意外な伏兵・アルトロンガンダム
T/W = 74.76kN / 7500kg × 9.807m/s2 = 74.76kN / 73552.5N = 1.016
思ってもみなかった結果、その2。できるんだ……!
T/W = 733171.32N / 7500kg × 9.807m/s2 ≒ 9.97
計算しなおしたら意外でも驚きでもありませんでした。普通に10G近く出ます。恐ろしい……。
いかにも飛びそうなウイングゼロとトールギス以外にも、デスサイズヘルとアルトロンに推力重量比が高めに設定されているということは、機敏に動く機体だというイメージがついているからでしょうか。
以上、Wikipediaを参考に算出しましたので、誤りがありましたら是非お知らせください。
よろしくお願いいたします。
2013/09/09:壮絶な勘違いをしていたことが発覚したので大幅改稿しました。