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このブログについて

本ブログは、新機動戦記ガンダムWの新作シリーズとして最近ガンダムエースで展開中の『Frozen Teardrop』、および『Endless Waltz 敗者たちの栄光』の考察・感想・情報収集のために運営しております。基本的に、どこよりも早いニュースや、あらすじの掲載はありません。にも関わらず、発売日以降は既知としてネタバレ全開で扱いますので、悪しからずご了承くださいませ。


エントリは、誤解を招く内容を発見した時や、状況が変化した場合に加筆修正する場合があります。

2012年6月25日

MCファイル4の感想(4)

Frozen Teardrop単行本6巻が発売されたので、再読いたしました。細かいところがちょこちょこ直ってたりしますが、大筋での変更はありません。
で、連載当時にはあまり分かってなかったところについて、いくつか腑に落ちた点ができたので、メモ代わりに残しておきます。
それにしても、プロメテウスのフル装備の重量はすごいことになってそうだ。ガトリングだけで本体分くらいの重さがありそうです。

デュオの独断プロメテウス奪還作戦

  • デュオによるプロメテウス奪還作戦は、後から振り返るに、機体同士による戦闘では互角だったナイナをMSから降ろして退場させ、残りの戦隊を自分とドクトルTで分担して圧倒しようとした、という感じかしら。ただし、ナイナを戦場から退場させるのは、当初のプランには入ってなかった可能性が高いと思う。
  • ナイナの提案に乗ったのは、彼女をMSから降ろすためと、夜になるのを待つ、そして、ナノマシンを散布する時間を稼ぐため。デュオは、他人にそれと悟られずに魔法使いのナノマシン制御機能を行使できるので、生身で行動している間も状況を続行できる。
  • ナイナのサンドイッチを食べてあげたのは作戦上の時間稼ぎでもあるし、W教授の言う通り、彼なりにナイナへの優しさ、絆の示し方でもあったんではないかしら。空腹だったしね。
  • ただ、そういうだまし討ちみたいなやり方でナイナを戦場から遠ざけたのは、彼女のプライドを死ぬほど傷つけている可能性がありそうなので、もしドクトル一行と一緒に捕まった場合、デュオは多少は覚悟しておいた方がいいと思うのであった。最初から覚悟込みかもしれんけど。

ナイナの手作りサンドイッチとか

  • ナイナの方は、個人的な思い込みが混入しそうなので、こう、考察の範疇からはみ出る。ただの感想ですが。
  • サンドイッチで買収なんて甘っちょろいこと、最初からほとんど考慮に入れてないと思う。デュオが戦う理由を知っていて、それが(恐らくは)重いものであることも知っているなら、なおさらだ。
  • だから、あれは彼女なりの決別の食事なのだと思う。アメリカ行きの通夜(新大陸に渡ったら二度と生きて会えないという意味で開いたアイルランド移民たちの行事)みたいな。
  • 過去の思い出話しかしてない。これからの話とか全然ない。道を決定的に違えてしまって、最後に話ができる機会を惜しんでいるように見える。もちろん、全部が私の読み違いかもしれないけれど。
  • と解釈してみたところで、両者ともに多少状況に流されてる感はあるのだけどね!
  • 本気でデュオを味方に強引に引き入れる気なら、サンドイッチに睡眠薬混ぜるくらいのことはできたはずだからなあ。
  • デュオがナイナに作った借りというのは何だろう。彼女が思い出話に付き合ってくれたことかしら。だからそれを何らかの形で返済しようとした。ウサギの手品とか、自分がこれからしようとしていることのヒントとか、そう考えると楽しい。
  • デュオはナイナを倒してしまうつもりだったけど、戦場から遠ざけることで借りを返したのかなとも思う。

フォボスの成長物語

  • ドクトルは、フォボスに帰る場所を用意してやれなかったと悔やんでいるけれど、気に病むことはないと思うんだ。フォボスはもう、自分で戦う理由を見つけているじゃないですか。狼狽することはもうやめて、たぶん、自分が感情を寄せる人たちのために戦っていくのだ、これからは。
  • 一緒に3巻も読み返した。最初は、フォボスが状況に流されるかのようにパイロットに選ばれて訓練を受ける流れが分かりませんでした。でも読み返したら何となく分かった。彼は、何者でもない自分が、技術を得て何者かになっていく過程を楽しんでいたように思える。
  • 何者でもない空っぽの、使い捨て兵器であることをやめて、狼狽もする人間になる。それが彼にとっての第3の道だった。同時に、その道を選ばせてくれたお嬢様には借りができた。それが、6巻で彼の言う「返したい借り」なのかなあと。
  • フォボスはもう狼狽しない。昔のように、名もない兵器に戻るけれど、何のために戦うのか、もう分かっている。そのためにはたぶん、命さえも擲てる。だから名無しに戻るのだ。と、こんな感じかしら。フォボスのお話は、3巻とこの6巻で一旦落ち着く感じかも。

フレンドさんが呟いておられましたが、ドクトルTの語りとあわせて読むと、手元から巣立っていく子どもと見守る親の関係を思わせる、余韻の残る結末でした。ファザーよりはちょっと遅くなったけど、ドクトルTは新たな家族を得たんだなあ、と感慨深かったです。